インタビューInterview

田中千里Chisato Tanaka

在学生
版画専攻 4年生

版画の素材・技法からアートブックまで、グラフィックアーツとしてのPRINT(プリント)の魅力

 

私は3年生の進級時に日本画学科から油絵学科版画専攻に転科してきました。版画専攻の友人から、版画のことをいろいろ聞いて興味を抱いたことがきっかけでした。直接、紙やキャンバスに描いて仕上げていく日本画や油絵とはまったく違う、“印刷して絵を仕上げる(=PRINT/プリント)”という間接的な表現が気になり始めたのです。日本画学科にいた頃も、岩絵の具や膠(にかわ)、和紙など多様な素材の魅力に惹かれていましたが、版画をやり始めると、扱う材料と技法の作業工程での複雑な絡み方が面白く、すぐに夢中になりました。グラフィックアーツという言葉もここで初めて知りました。転科して1年少しが経ちましたが、進路の選択は正しかったと思います。今、私はリトグラフを選択して主専攻としていますが、ムサビのリトグラフ工房の特徴である石版石を用いたリトグラフ技法の奥深さにハマっています。一方で、昨年、美術館で開催されたART-BOOK展を体験してからは、アートブックを作る楽しさにも目覚めました。タイミングよく、私の転科と同時期に導入されたリソグラフを、学生が自由に使ってZINEを作ることができるのも大きな魅力です。また、版画の制作だけでなく、教授たちが取り組んでいる石版石リトグラフやアートブック、貴重書の学術的な共同研究の実験や調査、資料の検証などを間近に見ながら、時には作業を手伝ったりする経験も授業だけでは得られない、貴重な学びの場になっているような気がします。

「第四の埋葬」
リトグラフ・アートブック
2021年