インタビューInterview

ユン ドヒYoon Dohee

在学生
大学院修士課程版画コース 2年生

版画の可能性—グローバルな展開を目指して

 

3年生に進級する時に、私は油絵専攻から版画専攻に専攻変更しました。そのきっかけは、ムサビの卒業制作展で初めて版画作品に触れたことにあります。多様な技法を使ったそれらの作品は、今まで私が持っていた版画のイメージとは全く違うものでした。そこで見た版表現を中心に多様な平面作品と組み合わせたインスタレーションの展示方法がとても魅力的で、版画で表現することに対して、新しい可能性を感じました。またその後、見学したムサビの4版種の版画工房の設備や道具がとても格好よく思えて、自分自身でも様々な表現の実験をしてみたいと強く思うようになりました。
学部卒業後は大学院修士課程に進学し、私自身が外国人として様々な国に滞在しながら感じた、“人が家だと言える場所”をテーマに作品を制作しています。水の流れは、連綿と流れ続ける時間の積み重ね、すなわち歴史であり、“人と人”、あるいは“人と場所”を隔てる境界域(=ボーダー)を形成しています。その境界域を意識しながら、版の上に時間を刻み、描き出した水面のイメージを通して人々が歩んできた社会との関係性を思索することが今の創作の出発点となっています。
今後の目標は、韓国や中国、ドイツなど多様な国々から来た留学生たちとの積極的なコミュニケーションを通じて、自分の視線の幅を広げていくことです。さらには世界とアジアを結ぶ架け橋として、グローバルな場で、版画を核に現代美術の場でアーティストとして活躍の場を広げていきたいと考えています。

Water surface
銅版画
2022年