カリキュラムCurriculum

ファインアートとデザイン、
伝統と先端を横断する多層的な学び

1. 版画の基礎を学ぶ

グラフィックアーツの基礎となる版画の基本的な技法を習得、表現の幅を広げます。
同時に1・2年次では油絵学科油絵専攻との共通授業を選択することで、絵画を中心としたファインアート領域について幅広く学ぶことができます。
3年次への進級時にグラフィックアーツ専攻⇄油絵専攻への専攻変更が可能です

2. グラフィックアーツへの展開

絵本・イラストレーション・ブックアート・デジタル表現・写真・映像など、ファインアートとデザイン領域が重なり合う、多様なグラフィックアーツへの展開と可能性について幅広く学びます。

1、2の学びを通して、それぞれの学生が得た力を総合的に展開し、幅広い表現方法を用いながら卒業制作に取り組み、自身の方向性を定めます。

グラフィックアーツで「版画」を学ぶ

版画技法(銅版画、リトグラフ、シルクスクリーン、木版画)の習得をグラフィックアーツの学びの出発点と位置づけることによって、浮世絵などの日本が誇る版画の伝統をしっかりと受け継ぎ、先端的な表現との融合を図りながら同時代のグラフィックアーツ表現を切り拓いていきます。

KIMUKIMU 「somewhere over the rainbow」(学生作品2021年度修了制作優秀賞)銅版画、流木ほか 銅版画とオブジェによるインスタレーション

シルクスクリーンの刷り工程

石版石によるリトグラフ実習での研磨作業

彫刻刀による木版画の彫り工程

村上早(卒業生)「かくす」銅版画 2016年

芦川瑞季(大学院博士後期課程在学生)「ぱたぱた」2022年
大型リトグラフ作品 第3回京都版画トリエンナーレ(ニッシャ印刷文化振興財団賞)

グラフィックアーツで「イラストレーション」を学ぶ

印刷文化の発展と共に変容し、図解や装飾、宣伝とともにあったイラストレーションを、油絵学科の中で絵画表現の豊かな拡がり実感しながら、アカデミックに学んでいきます。

学生作品(卒業制作)木版画によるインスタレーション 2020年

学生作品(卒業制作)リトグラフ “立版古”に着想を得た立体的イラストレーション 2018年

いとう瞳(卒業生 2023年~グラフィックアーツ専攻教授)2022年
JUJU「ユーミンをめぐる物語」(Sony Music) (AD/窪田 新・PHOTO/平原陽太郎)

サノマキコ(卒業生・特別講師)「夏の日のマトリョーシカ」イラストレーション 2021年

緒賀岳志(卒業生・特別講師)「最終人類」カバーイラスト

グラフィックアーツで「絵本」を学ぶ

絵を描き、物語を紡ぐこと。デザインすること。編集、印刷、そして本をつくること。絵本をつくるための基礎的な力をしっかりと養います。

亀山達矢(tupera tupera 卒業生・客員教授)絵本の仕事

学生作品(卒業制作)銅版画による絵本とその舞台装置 2017年

亀山達矢(tupera tupera 卒業生・客員教授)絵本ガイダンス授業風景

学生作品(卒業制作)リトグラフによる絵本とその原画 2021年

早川純子特別講師による絵本実習

グラフィックアーツで「ブックアート」を学ぶ

活版印刷や製本、装幀、挿画、ブックデザインなどの本づくりの全般を学びます。絵本やアーティストブック、ZINE、版画集などへの展開を通して、出版にまつわる実践的なスキルの習得を目指します。

学生作品「版画五美大展2021 ポートフォリオ版画集展」武蔵野美術大学ブース展示風景(多摩美術大学アートテークギャラリー201)2021年

学生作品 絵画基礎Ⅴ/複合版表現(製本実習)講評風景

高浜利也教授監修「ART-BOOK:絵画性と複製性 MAU M&L貴重書コレクション×Lubokの試み」展カタログ 2021年(編集:大野智世、西村碧 / デザイン:保田卓也)

学生作品 シルクスクリーンによるアーティストブック2020年

西尾彩特別講師による絵画基礎Ⅴ/複合版表現(製本実習)学生自ら制作した版画作品を用いて製本を学ぶ実践的な授業

グラフィックアーツで「デジタル表現」を学ぶ

デジタルペインティングやデジタルプリント、リソグラフなどのデジタル演習のプロセスで生まれてくる発想、思考、ひらめきを重視しながら、多様なデジタル表現技術を習得します。

迫鉄平非常勤講師「You accidentally scheduled two appointment at the same time.(契約の庭)」2021年

学生作品 リソグラフによるアーティストブック

gFAL「緒賀岳志展」展示風景(特別講師・卒業生)2021年

緒賀岳志特別講師によるデジタル表現演習講評風景

デジタル表現演習 授業風景

グラフィックアーツで「貴重書」から学ぶ

実技演習と並行して、版画や印刷、書籍、出版といったキーワードを起点に、アフォーダンス的な視座からグラフィックアーツにアプローチする授業も開講されています。
そのひとつ、「貴重書閲覧」は、学内共同研究「絵画とアートブック-その成り立ちと展開の検証、および教育現場における授業実践-」での成果をもとにスタートしました。武蔵野美術大学 美術館・図書館が長年にわたり収集してきた解剖図譜や植物図譜をはじめとする膨大な数の貴重書を、教育資源として最大限授業活用するものです。通常、触れることができないような文献を毎回、テーマ別に専門知識を持つ貴重書担当職員が収蔵庫から選び出し解説したのち、学生自ら手にとってページをめくり、”五感で本を体感する”他に類を見ないようなグラフィックアーツ専攻独自の授業が、全学年対象で定期的に実施されています。

貴重書閲覧の授業風景。学生たちは自らページをめくりながら、インクのにおい、紙の手触りなど、五感を総動員して本を感じることができます。

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