インタビューInterview

緒賀岳志Takeshi Oga

イラストレーター/コンセプトアーティスト

プロフィール

1973

高知県生まれ

1997

武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画クラス 卒業

1999

筑波大学大学院修士課程芸術研究科 修了

ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ勤務を経て独立。
コンセプトアーティストとしては、ゲーム『サイレン』シリーズ、『グラビティデイズ』シリーズ、『鬼ノ哭ク邦』、映画『バイオハザード・ヴェンデッタ』、『ルパン三世 THE FIRST』等に参加。 また、『大英帝国蒸気奇譚』シリーズ、『進撃の巨人・果てに咲く薔薇』等、主にSF小説を中心に書籍のカバーイラストを手掛けている。

ウェブサイト:
https://www.takeshioga.com

ムサビの学生時代はどうでしたか?

入学してしばらくはあまり学校が好きじゃなくて、自宅で好きな絵を描くことと学校でやることの間で悩んでいるような感じでした。サボることも多かったです。3年生の頃木版画と出会い、ようやく腹を決めて学校での制作に打ち込むようになりました。 カリキュラムでデザインや彫刻などいろいろなことをやらなくてはならないことに当時は乗れなかったのですが、今思えば学校で様々な技法を経験したことが自分の中の幅の広さにつながっていますし、もっと素直に真面目にやっておけばよかったとも思います。

コンセプトアートを始めるきっかけは?

学校を出てしばらくはアルバイトをしながら木版画の作家として活動をしていたのですが、あるときインターネットで海外の映画やゲームのために描かれたコンセプトアートと出会いました。それらがコンピュータで描かれていることを知り驚きました。当時はまだ今ほどデジタルペインティングはメジャーではなかったんです。 道具を買いそろえ、見様見真似で試してみると、デジタルペインティングは自分に向いていました。 そのうちいろいろあって木版画の制作は行きづまりまして、デジタルによるコンセプトアートの方をやってみたい気持ちになり、作品を描きため、就職活動をはじめました。29歳で業界未経験、厳しい条件でしたが、なんとかゲーム会社にもぐり込むことができました。

デジタル・ペインティングの授業を担当した感想は?

ムサビの版画(グラフィックアーツ専攻)でこのような授業があるなんて時代は変わるものだなあと思います。自分自身、デジタルでゲームの絵を描くことなどを生業とするようになるなんてずいぶん遠くにきたものだと思っていたくらいで、ムサビに戻ってそれを人に教えることになろうとはまったく思いもしませんでした。 ゲーム業界志望の学生がとても多いのも驚きですね、うれしいことです。 自分にとっても絵を教えることは面白いです。デジタルの扱い方ももちろん教えますが、エンターテイメントの世界で絵を描くということはどういうことなのかを伝えることを主眼にしています。

グラフィックアーツ専攻になるにあたって、学生に期待することは?

従来の版画に加えて、イラストレーション、コンセプトアート、アートブックといった分野にまで広がっていくイメージですね。今の時代に合っていますし、自分の頃もこれだったら良かったのにと思います(笑)。 グラフィックアーツ専攻は各種版画工房をはじめ設備も充実しています。僕のやっているデジタルペインティングのような最近の技法も学べますし、ここにしか無いような貴重な伝統も残っています。 とにかくいろいろやれる専攻だと思いますので、学生にはこだわらずにいろんなことを試してみてほしいですね。

「最終人類」カバーイラスト

「大英帝国蒸気綺談 月の山脈と世界の終わり 下巻」カバーイラスト

「大英帝国蒸気綺談 ねじ巻き男と機械の心 上巻」カバーイラスト

「大英帝国蒸気綺談 バネ足ジャックと時空の罠 下巻」カバーイラスト

「紅蓮館の殺人」カバーイラスト