インタビューInterview

出久根 育Iku Dekune

絵本作家/イラストレーター

プロフィール

1969

東京都生まれ

1992

武蔵野美術大学油絵学科版画クラス 卒業

1994

最初の自作絵本「おふろ」(学研)出版

2002

チェコ、プラハ在住

2003

絵本「あめふらし」(偕成社 再刊)でブラティスラヴァ国際絵本原画展グランプリ受賞

2004

ボローニャ国際絵本原画展にて特別展示

2005

「マーシャと白い鳥」(偕成社)で日本絵本賞 大賞受賞
ブラティスラヴァ国際絵本原画展にて特別展示

2006

チェコ、リベレツ県立美術館にて、個展を開催

2007

「ムサビと絵本 絵本の表現」展に出品

2010

東欧と日本を結ぶ色と線の幻想世界ドゥシャン・カーライ×出久根育(ちひろ美術館長野)

2011

チェコにてカレル・ヤロミール・エルベン生誕200周年記念の童話集の挿絵を描く

2012

プラハでつむぐ幻想—出久根育絵本展 (ちひろ美術館東京)

ご自身の活動、お仕事の内容についてお話をお聞かせください。

現在はチェコ共和国の首都プラハに在住し、主に、日本とチェコの児童書(絵本や読み物)の挿絵の仕事をする他、チェコのイラストレータークラブに所属し、グループ展やイラストレーションに関する活動などを行っています。また、98年より、定期的に日本で個展を開いています。個展では、版画、タブローなどを発表しています。

ムサビの版画で学んでいたころの印象に残っていることなどをお聞かせください。

卒業制作の時期が一番思い出深いです。遅くまで工房に残り、作業をしながらお喋りをし、お茶を飲み、わいわいと楽しい時間でした。当時一緒に制作していた友人たちの作品は、学生時代にしか描けない、瑞々しく力強い素晴らしい作品ばかりだったと記憶しています。また、同じ工房で仕事をする先輩方、先生方の作業を盗み見て勉強したことは、今もとても役立っています。

今後の活動についてお聞かせください。

しばらくブランクのあった銅版画を、昨年あたりからまた制作しはじめており、新しい技法などにも挑戦して、表現の幅を広げたいと思っています。絵本や版画、タブローと壁を作らずに、自由に制作していきたいと思っています。

今、ムサビで版画を学んでいる後輩の学生、あるいは、これから版画を学ぼうとする受験生の皆さんにメッセージをお願いします。

私の暮らしているチェコにも、素晴らしい版画を作る作家がたくさんいますが、近頃はコンピューターが主流となり、手間とコストと制作場所の必用な版画という手法を選ぶ作家が減っているようです。しかし私は、表現方法を試行錯誤しながらじっくりと制作に向き合うことのできる銅版画の魅力を再発見し、あえて、慌ただしい日々の中で版に向き合う時間を作りたいと思っています。作者の息づかいや心の動きが、版画では表現できる、それが何より大きな魅力だと思います。

「かえでの葉っぱ」2012年 理論社
紙にテンペラ

「あめふらし」1998年 パロル舎 (2013年に偕成社より復刊予定)
板に油彩

「緑のスキップ」 2013年 偕成社
紙にテンペラ

「マーシャと白い鳥」2005年 偕成社
石膏ボードにテンペラ、油彩

「Živá voda(命の水)」2011年 Albatros(チェコ)
紙にテンペラ