国際交流International

2013年度 国際交流プロジェクト国際交流プロジェクト“Flying Portfolio: Printed Kites”/アメリカ合衆国

—版画をフレームから解放して—

 

“Flying Portfolio: Printed Kites”は、テネシー大学と本学版画研究室、オハイオ大学、アルバータ大学(カナダ)によって企画され、約半年間に渡りインターネット上で経過を報告し合いながら共同で版画と凧を融合させる造形研究に取り組んだプロジェクトである。それは、プリント(版画)をカイト(凧)という古くからの遊具に作り変える課題を通してそれぞれの国の文化を知り、版画が内包している表現の可能性を研究することで国際交流を図ろうとするものであった。
そしてこのプロジェクトの最大の目的は、その成果をSGC International conferenceにおいて発表し、共同研究した学生同士のみならず、多くの作家や研究者や学生と対面して意見交換を行い、国際的な視野による現代の版表現について個々に研究を深めることであったと言える。

今回のSGC International conferenceは、サンフランシスコのベイエリアの大学、美術学校、版画研究所、工房などが会場となり、5日間に渡って様々な展覧会やワークショップ、ディスカッション、デモンストレーションが行われ、世界各国から1500人が参加する世界屈指の大規模なものであった。
私達の“Flying Portfolio: Printed Kites”のデモンストレーションはサンフランシスコ州立大学のファインアート棟の版画スタジオで開催され、また、凧上げは学内のサッカーグラウンドで行なわれた。本学は事前に調査した和凧の特徴と歴史を紹介し、日本の伝統木版画(浮世絵版画)の摺りの技法を実演したのだが、このデモンストレーションには延べ約300人の来場者があり、大きな反響を得たことは参加した学生それぞれの確固たる自信となったのではないだろうか。
また、今回のカンファレンスで本学の学生はオープンポートフォリオというプログラムにも参加した。それは、各個人に割り当てられたテーブルにそれぞれが作品を並べて来場者と直に作品を介してコミュニケーションをとる場であり、英語による会話に苦労しつつも日常の学内での授業や講評会などでは得ることができないとても貴重な体験となったに違いない。

このプロジェクトのように、版画を壁に掛けられる存在から解放することで新しい表現を探ることは必ずしも従来の版画を否定するものではなく、多くの場合、翻って伝統的な版画の存在意義を再発見することにもつながる。今回のカンファレンスは、まさにそのような版画の多様性を示すものであった。
そして何よりも、このような意義の深い国際交流プロジェクトと国際的なカンファレンスでの経験が、参加した学生それぞれの今後の研究・制作の糧となり、近い将来に広い視野を持つ表現者として大きく開花するよう、携わったすべての関係者が国を超えて期待していることも学生たちは肌で感じたに違いない。

 

油絵学科教授 遠藤竜太

実施日時:

2014年3月25日〜3月30日

場所:

サンフランシスコ/ベイエリア(USA)
SGC International conferenceは今年42回目を迎える。今回"Bridges"というタイトルでサンフランシスコのベイエリアを舞台に開催された。

参加者:

遠藤 竜太 (油絵学科教授)
豊泉 綾乃 (油絵学科版画研究室助手)
越智 也実 (油絵学科版画研究室教務補助員)
北嶋 勇佑 (大学院版画コース2年)
齋藤 思帆 (大学院版画コース2年)
鈴木 富美子 (大学院版画コース2年)
中村 真理 (大学院版画コース1年)
増田 陽太 (造形学部版画専攻4年)
松塚 実佳 (造形学部版画専攻4年)
島田 優里 (造形学部版画専攻3年)
橋渡 春香 (造形学部版画専攻3年)

協同研究校
アルバータ大学
オハイオ大学
テネシー大学ノックスビル校

協力
広井力(東京学芸大学名誉教授/埼玉県春日部市大凧会館名誉館長)
Beauvais Lyons(テネシー大学ノックスビル校)
Koichi Yamamoto(テネシー大学ノックスビル校)
Melissa Haviland(オハイオ大学)
Cris Dacre(アルバータ大学)
Mario Laplante(サンフランシスコ州立大学)
Susan Belau(サンフランシスコ州立大学)

デモンストレーション/ワークショップ:

日程:2014年3月27日
場所:サンフランシスコ州立大学

 

プレゼンテーター:

Beauvais Lyons
Koichi Yamamoto
Melissa Haviland
Cris Dacre
Daliab Stahi
Karla HAckenmiller
Ryuta Endo
Ayano Toyoizumi

 

カンファレンス訪問先:

City College of San Francisco
Academy of Art University
Kala Art institute
San Francisco State University
Colifornia College of the Arts

スケジュール:

25日

サンフランシスコ着

26日

11:00-15:00

サンフランシスコ州立大学でデモンストレーション・ワークショップ準備

15:00-

ハイアットホテルでスケジュール確認

17:00-18:00

カンファレンス/開会式

18:00-20:00

Academy of Art Universityで展覧会のオープニングイベントに参加する

27日

09:00-

サンフランシスコ州立大学でデモンストレーション・ワークショップ準備

11:30-12:30

武蔵野美術大学デモンストレーション

12:30-13:30

オハイオ大学デモンストレーション

13:30-14:30

テネシー大学ノックスビル校デモンストレーション

14:30-15:30

アルバータ大学デモンストレーション

15:30-17:00

凧揚げ

18:00-20:00

オープンポートフォリオ

28日

09:00-10:00

オープンポートフォリオ

11:00-17:00

版画工房Kala Art instituteにてスタジオ、ギャラリーを見学

17:00-19:00

California College of Art and Craftを見学

29日

10:00-15:00

SGCIのイベントを見学

30日

日本着